選挙公約

増税の前にやるべきことがある!


-消費税増税を凍結し、まずは国会議員や官僚が身を切る-
 国民の手に政治を奪還する。我々「みんなの党」は、政治家や官僚の利権、既得権益に食いつぶされてきた国民の貴重な税金を、本来の持ち主である国民のもとに取り戻します。
前回の総選挙で、民主党は私たちの主張と一見類似した公約を掲げて多くの国民から支持を得ました。しかし、政権交代を果たすと、いとも簡単に官僚に取り込まれてしまいました。民主党がマニフェストに掲げた「天下り根絶」は実施されず、むしろ逆行する人事が横行しています。「国家公務員人件費2割削減」は先送りされたままで、同党が国会に提出した公務員制度改革法案も、自民党政権時代につくられた案からも大幅に後退した内容となっています。
自民党も民主党も、「官僚主導から政治主導」を実現することは不可能でした。二大政党の実態とは、あるときは財務省依存、またあるときは復興予算の流用に象徴されるような危うく、そして誤った「政治主導」でしかなかったのです。
民主党の一般会計、特別会計あわせて207兆円の予算を組み換え、20兆円程度の財源を捻出するという約束も果たされませんでした。そのような状況下で、二大政党は財務省が主導する「消費税増税」を決めてしまったのです。世界一の少子高齢化が進む日本において、私たちも将来的な増税を一切否定するわけではありません。
「増税の前にやるべきことがあるだろう!」
みんなの党が結党以来言い続けてきたフレーズです。この信念を我々は必ず実現したいと思います。
増税の前にはやるべきことが数多くあるのです。私たちは「国民に負担を求める前に、まずは国会議員や官僚が身を切るべきだ」との国民の声に真摯に応えていきます。
みんなの党は、国会議員が享受している数々の特権を廃止し、税金で養われる公務員の数や給与の削減、天下りの禁止を断行します。国家予算の「埋蔵金」を発掘し、予算もゼロベースで見直していきます。
みんなの党には、公務員労組等とのしがらみはありません。そして何より、私たちの主張を実現していくための具体案と、強い覚悟があるのです。

A 国会議員が自ら身を切る
1.国会議員の数を大幅削減し、給与をカット
  • 2回の選挙を経て衆議院議員は300人(180減)、参議院議員は100人(142減)へと削減する。
  • 国会議員給与の3割、ボーナス5割カットを即時実施する(本則から)。
  • 1票の格差を完全になくすため、「完全1人1票比例代表制度」を導入する。
  • 将来的には憲法改正手続きの簡略化を進め、決議要件を緩和。憲法改正によって「地域主権型道州制」を導入した後、衆参両院を統合して一院制(定数200)へと改め、「ねじれ国会」をなくす。
2.議員特権の廃止
  • 国会議員に無料で提供されているJRパス、航空券を廃止する。
  • 衆参議員宿舎を売却する。
  • 国会議員用の公用車を原則廃止する。
3.政治資金の流れを透明化し、利益誘導政治から脱却
  • 企業・団体献金を即時全面禁止する。
  • 個人の政治献金を促すため、小口献金を中心に全額所得税額控除制度を設ける。
  • 政党助成金等に係わる情報公開を進め、憲法改正時には政党規定を新設するとともに、政党運営の健全化を図る「政党法」を制定する。

B 「小さな政府」(スリムな政府)と「国民が主(あるじ)の社会」
1.国と地方の公務員人件費削減を実現
  • 国家公務員の数を10万人削減する。
  • 都道府県に置かれる国の出先機関を廃止する(徴税、海上保安等を除く)。
  • 人件費を2割削減する。
  • 給与、退職金、年金を民間水準に引き下げる。
  • 有能で熱意ある人材を登用する人事評価を導入する。
  • 政府申請や納税申告等も電子申請を原則化し、行政コストの削減を図る。
  • 違法な公金支出や権限行使に対する監査請求、刑事告発、損害賠償請求を可能にする。
  • 公務員組合のヤミ協定、ヤミ専従等を根絶。違反者は即免職とし、刑事罰や個人賠償も導入する。
  • 地方公務員の給与は民間を基準とし、リストラも導入。地方自治体主導による人件費削減を後押しする。
2.民主党政権が断念した「天下り根絶」を断行
  • 在職中の所管業界への天下りは一切禁止する。
  • 天下りの抜け道となってきた「政務三役によるあっせん」や「前任OBによる後任の推薦(裏下り)」には刑事罰を導入する。
  • 天下りのインターンと化している「現職民間出向(官民人材交流)」の現状を見直す。
  • 国家公務員の「早期退職慣行」を廃止する。
  • 民主党政権が進める「天下りに代わるポスト創設」は認めない。
  • 熟練一般職員として定年まで働ける人事制度を導入する。
  • 天下りのたびに支払われる退職金を廃止する。
3.「郵政再国営化」を許さず「郵政民営化」を推進
  • 民主党、自民党、公明党の3党が談合で成立させた「郵政民営化改革法」を改め、再び郵政民営化を進める。
  • 日本郵政グループの「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」全株式の売却時期を明示。両社の経営を天下り官僚から民間企業出身者に委ねる。
4.「官から民へ」を前進させ、独立行政法人の廃止・民営化等を実行
  • 天下りの温床となっている独立行政法人は、そのすべてを廃止もしくは民営化。「廃止」と称して準国営化した民主党のやり方を改める。
  • 政府系金融機関「日本政策投資銀行」「商工組合中央金庫(商工中金)」は、現在の経済危機を克服した後に完全民営化し、経営も民間企業出身者に委ねる。両社で行っている危機対応業務は「日本政策金融公庫」に一元化。「国際協力銀行(JBIC)」も同公庫に再統合する。
  • 独立行政法人と同様、天下りの問題を抱える公益法人の必要性をゼロベースで見直す。
  • 天下り先での談合を防ぐため、官僚OBへの適用対象を拡大する等して「官製談合防止法」を強化。公正取引委員会の官製談合に係わる権限も強める。
  • 政府調達を一元化、「競り下げ方式」の導入によって行政コストを削減する。
  • 公共事業発注の際の「随意契約」「指名競争入札」を「一般競争入札」に原則転換。一般競争入札を実行しない場合、その理由および発注先における天下りの実態等の情報公開を義務づける。
5.「内閣予算局」で予算を見直し、「埋蔵金」(20兆円以上)を1円残らず発掘
  • 財務省から予算編成部門(主計局)を分離し、官邸に「内閣予算局」を設置。国家予算(一般会計+特別会計=約200兆円)を抜本的に組み替える。政治主導による予算編成を実施し、すべての予算をゼロベースで見直す。
  • 特別会計、独立行政法人の資産・負債差額を精査する。
  • 政府保有株式等の国有財産の売却を進める。
  • 政府の金融資産300兆円の3分の2を流動化(売却や証券化等)する。
  • 遊休地の有効利用、処分を促すため、国(都道府県)有地に固定資産税の導入を検討する。

C 真の政治主導(内閣主導)を確立し、国民が主役の政治を実現する
1.総理大臣を司令塔として国家戦略を策定
  • 官邸に総理大臣を議長とする「国家戦略会議」を設置し、総理大臣直属の「国家戦略局」で国家運営の基本政策を策定する。
  • 「 国家戦略スタッフ」として政治家、民間人、学者等100人以上を政治任用する。
  • 総理大臣のリーダーシップで、政府全体の行財政改革を省庁横断的に行うため、官邸に総理大臣を議長とする「霞が関改革会議」を置き、専任の大臣が担当する。
  • 憲法改正を必要としない日本型首相公選制を導入。国民投票によって国民が総理大臣にしたい候補者を選んだ後、国会議員はその投票結果に示された世論を尊重して総理大臣の指名に関する投票を行う。将来的には、憲法改正による首相公選制を導入。
2.内閣が幹部官僚人事を掌握し、総合職を一括採用
  • 官邸に「内閣人事局」を設置し、幹部公務員(部長、審議官以上)の人事を総理大臣・官房長官が一元管理する。
  • 人事局のトップは政治任用とし、民間からも人事のエキスパートを多数登用する。
  • 今まで省庁別に行っていた国家公務員総合職の採用を一括採用で行い、「オールジャパン」の意識を持った官僚を養成し、タテ割り行政を打破する。
  • 幹部公務員は役職に就くにあたっていったん退職した後、特別職として時限採用し、時の内閣の政策を忠実に遂行する。
3.真の政治主導(内閣主導)の枠組みを確立
  • 各大臣が副大臣、政務官、大臣スタッフ等を直接任命し、「大臣チーム」として省庁の運営に当たる。
  • 国会議員の政策スタッフを充実させ、立法、政策立案能力を強化する。
  • 「 政」と「官」の接触を制限し、官僚の根回しや国会議員からの個別案件要請等への対応について厳格にルール化。政治家の口利き、政官の癒着を防止する。
  • 会計検査院を改組。米国議会会計検査院(GAO)型の強力な会計監査機関を国会に設け、税金のムダ遣いを徹底的に排除する。
4.内閣主導の責任行政(危機管理)
  • 権限と責任を総理大臣に一元化。国民と国家に対する全面的かつ最終的な責任を、総理大臣がしっかりと果たす統治機構を築き上げる。
  • 各省局長以上は、内閣交替ごとに総理大臣が任用する。
  • 内閣中心の政治主導を支える立場として、各省審議官以上(指定職)並びに内閣官房の政策スタッフ及び各省官房スタッフ等は、特別職公務員とする。
5.情報公開を徹底し、「ガラス張り」の行政を実現
  • 官邸に「情報公開局」を設置し、隠ぺいされた情報、国家の「隠し財産」を明らかにする。
  • 行政情報の記録化を徹底。公文書の管理を厳格化する。
  • 国の会計に複式簿記等の企業会計手法を導入し、会計制度改革を推進する。
  • 「 ノーアクションレター制度」(法令適用事前確認手続)の適用範囲拡大や利用促進を通じ、官僚による裁量行政を徹底的に排除する。
6.熟議の国会を機能させるために
  • 国会の「会期不継続の原則」を改め、通年国会を実現。不毛な日程闘争に明け暮れる「国対政治」と決別し、きちんと議論して決められる政治を取り戻す。
  • 個人の倫理観、宗教観が問われる法案には政党の党議拘束を緩和し、各議員の良心と信条に従い自由な投票を許す。
  • 内閣の提出する法案が議員提出法案の審議に優先する慣行を是正。議員立法の件数を増やし、「国会議員が法律をつくる」という当たり前の政治を実現する。
  • 大臣等の委員会出席義務を緩和し、「総理大臣や外務大臣が国会対応のために国際会議を欠席」といった国益に反する事態を回避。委員会審議における副大臣、政務官の役割を広げる。
  • 国会の委員会における定足数要件を見直し、運営をより柔軟かつオープンなものとする。
7.多様な民意を政治に反映させるため、インターネット選挙を解禁
  • 選挙期間中でもインターネット(フェイスブックやツイッター等)を使った選挙運動が、候補者本人や政党、第三者でもできるよう法律を改正。候補者本人の有料広告は、法定選挙費用内で可能とする。
  • 個人認証の精緻化や秘密投票の確保がなされるようになった将来には、パソコンやスマートフォンを使ったインターネット投票を実現し、その技術を世界へと売り込む。

Ⅱ 成長戦略で経済復活!

―名目4%以上の成長により10年間で所得を5割アップ―
 日本は、世界一の少子高齢社会です。今後、社会保障等にかかるお金は莫大なものになっていきます。一方、社会保障の財源となる社会保険料の徴収には多くの不公平や非効率が指摘され、結果として年金を中心に持続可能性にも疑念が持たれています。みんなの党は、歳入庁の設置により、こうした不公平を無くし、持続可能な社会保障制度を構築します。世界に目を転じると、出口の見えないユーロ危機が世界同時景気減速につながるのではと危惧されています。
国民の深刻な生活不安を払拭し、この日本という国が今後とも活力ある国であり続けるために、みんなの党は政府による介入ではなく民間の活力を引出すことによる経済成長を実現します。みんなの党は正しい成長戦略の実現で国民一人ひとりの生活を豊かにします。実質成長、名目成長両面での成長を目指します。短期・中期的には国益のために必要な行為規制を除き大胆な規制の改革、「自由償却税制」を始めとする税制の抜本改革、対内直接投資を呼び込む制度改革、鉄道等のインフラシステム輸出の後押しによる成長を実現します。長期的には、人工光合成やiPS細胞の研究支援等基礎科学振興による技術革新による成長を目指します。インフレターゲットを含む金融政策への注力により、デフレ脱却を最優先に進め、お金の循環速度を速める政策を実施し、民間が積極的に投資活動に従事できる制度を構築します。
世界中を見渡しても、デフレ下で増税をしている国はありません。みんなの党は、以下の経済成長戦略や物価安定目標の策定等により、10年間で所得を5割アップさせることを目標に掲げます。結果として、今よりもはるかに実質経済規模が小さかった1990年当時の約60兆円を超える国税収入も得ることによる財政再建も目指します(現状の国税収入は約40兆円)。
A 経済成長戦略で雇用を増やす
1.規制改革、税制改革を駆使した未来を切り拓く経済成長戦略
  • 年率4%以上の名目成長で、今後10年間で所得を5割アップさせることを目標とする。
  • 地域密着型産業(医療・介護、福祉、子育て、家事支援、教育、農業等)を規制改革、税制改革によって創出。地域を支える中小企業の活性化、競争力向上を支援するため「中小企業憲章」及び「中小企業条例」を制定。農業分野では海外進出に向けた攻めの政策を打ち出す。
  • 経済特区を拡大し、規制改革を推進する。
  • 沖縄県にメディカルツーリズム特区を創設。認定国の医師免許を保有する医師による医療行為を可能とし、認定国で認可され薬品も安全性に配慮したうえで使用を許す。沖縄県民が特区内で医療行為を受ける場合、保険適用とする。
  • 護送船団方式の産業政策からは脱却。民間の自由な投資活動を促進するため、租税上の償却期間の設定は投資者の自由に任せる「自由償却税制」を導入する。
  • 贈与税の軽減、寄付税制の拡大等を通じ、1,500兆円の個人金融資産を活用する。
  • 租税特別措置(5兆円)を抜本的に見直すとともに、法人税(実効税率ベース)を現行から20%へと減税(赤字企業の損失繰越期間の延長、繰戻還付の拡大を含む)する。
  • 「 全額税額控除」の導入等、寄付税制を改革してNPO等の公益活動を活性化する。
  • 産業構造を高付加価値型へと転換。ヒト、モノといった生産要素を予算、税制面からバイオ、エレクトロニクス、新素材、環境、エネルギー等の成長が見込める分野へとシフトする。
  • メディアコンテンツ、ファッション、食、観光等を輸出産業として育成するため、カテゴリーを横断した日本文化産業全体のブランドコンセプトを創出。重点地域市場における現地支援プラットフォームを設立(市場調査、現地パートナーの紹介・交渉、共同流通網の構築等シェアドサービス的機能を提供)、関連産業の再編と強いブランドポートフォリオの形成。これを可能とするファンド機能とマネジメントチームを組成する。
  • インターネットの利活用を促進し、ネットによる新規ビジネスを振興する。医薬品のインターネット販売を安全性に配慮しつつ解禁。
2.日銀法を改正して早期にデフレから脱却
  • 日銀法を改正。物価の安定に加えて雇用の安定を金融調節の理念とし、政府と日銀との間で、日銀の目標と責務を定めた協定を締結。世界標準の金融政策を実践することで早期にデフレ脱却を図る。日銀は中央銀行として手段の独立性は有するが、目標は国民が決めるとの世界標準のコンセンサスに従い、物価安定目標を設定し、デフレ脱却後の成長軌道を確保する。内閣には、国会への同意を条件とした、総裁や副総裁、審議委員の解任権を付与する。
  • 20兆円の中小企業向けローン債権に政府保証を付与した上で、証券化、地域型投信を促進する。併せて、地域の産業再生のために、個別の企業価値を見極めた上で、地域密着型金融を強化。中小企業の銀行からの長期借入金のDES(デット・エクイティー・スワップ)のリスクウェイトをローン並みにする。
  • 政府金融資産300兆円のうち3分の2を流動化し、金融市場に新たなビジネスチャンスを創出する。
  • 経済再生には資金の流れが円滑になることが重要。事業性資金についてはリスクに見合った金利設定を可能にし、必要なところに資金が回る仕組みを構築する。
  • 安易なモラトリアム(返済猶予)法案延長には反対。産業構造転換を促す一方で、労働者の再就職のための新たな技術・技能の取得支援やセーフティネットの整備を推進する。
3.科学技術振興による潜在成長力底上げ
  • 人工光合成やミドリムシからジェット燃料を製造する技術、再生可能水素(R水素)等、最先端技術に国家ビジョンを示して取り組む。
  • iPS細胞を活用した再生医療研究を深化させ、臨床現場での実用化を図る。
  • 省庁を束ね国家戦略として科学技術政策を展開可能にするために現行の「科学技術会議」を改組し、予算配分権限等を有する「真の司令塔」を発足。前年比較での予算配分方式から目標設定方式へと変更する。
  • 世界的な「頭脳循環」を踏まえ我が国の若手研究者を世界トップクラスの研究機関に派遣する一方、海外の優秀な研究者を日本へ招聘し、国際的な研究者ネットワークを構築。
  • 東京大学民営化などを推進。大学は国の予算に依存することなく自立的に資金を集め、成果によって競い合う研究機関へと脱皮。大学・大学院を「産業のサービス機関」として位置づける。
  • イノベーション創出推進のための規制改革、研究成果の事業化・実用化のための実証実験、先導的な市場確保に向けた政府調達を進める。
  • 基礎研究分野に加え、「規格競争」(通信、スマートグリッド、電気自動車、地デジ等)を勝ち抜くための施策を国として推進。ISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)等における日本の影響力の拡大に努める。
4.TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加して攻めの開国
  • 「 日本開国宣言」を掲げて国際化を進める。世界標準の合理的な経済政策を進め、閉鎖的な規制や制度は改革。英語教育を抜本強化し、行政機関の情報発信をすべてバイリンガル化する。外国人不法滞在者の取締を厳格化する一方で、多様な人々が我が国で活動できるよう外国人労働者政策や入国管理政策も見直す。
  • 東京をアジアの金融センターとすべく、証券・金融・商品等の総合取引所の早期創設を目指す。東京経由で世界のマネーをアジア各国へ提供する体制を構築。所得税の捕捉は国内所得に限定。投資家としての個人、グローバルに通用する金融専門家を育成するプログラムを導入し、日本を産業+金融立国へと導いていく。
  • 成長する「新興国市場」を「国内市場」「内需」に取り込む。自動車・電機・機械等に頼るモノづくり信仰から脱却。内需型産業とされてきた鉄道、流通(コンビニ、専門店)、物流、教育、福祉、農業、飲食、食品といった産業の海外進出を強力に支援する。鉄道事業モデルのアジア進出の後押しをする見返りにCO2排出権を取得する。医療、大学、観光等でアジアから顧客を誘致。アジア域内の規制緩和(外貨規制等)を進め、必要な規制については共同制度(競争政策、知的所有権等の国際調和、紛争解決等)の構築を図る。アジアの物流環境、インフラを改善するために「サムライボンド」(円建て債)、「サムライローン」(円借款)、「サムライエクイティ」(資本提供)を活用。アジアの通貨防衛、為替安定を図るため、アジア版通貨基金の構想を推進。円建て輸出の促進によって円の国際化を進める。
  • 米国・豪州を含むアジア太平洋地域内で、経済、エネルギー、観光、安全保障分野での協力を推進。経済分野ではTPPの速やかな交渉参加、CEPEA(東アジア包括的経済連携構想)の交渉推進を図る。同時に、EU等アジア以外の国や地域とのFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)を推し進める。その際、農業を聖域とせず、減反廃止と関税撤廃を基本とし、「輸出する農業」への転換を図る。
5.格差を固定しない、がんばれば報われる雇用・失業対策
  • 原則としてすべての労働者(公務員、非正規を含む)に雇用保険を適用する。
  • 同一能力・同一労働・同一待遇(賃金等)の原則を徹底。公務員における勤続年数の長さのみに基づく優遇待遇を廃止。常勤・非常勤の格差を是正し、「官製ワーキングプア」をなくす。
  • 新卒採用の可否によって人生が決まる雇用慣行を是正。正社員の整理解雇に関する「4要件」を見直し、解雇の際の救済手段として金銭解決を含めた解雇ルールを法律で明確化する。
  • 労働保険特別会計の積立金を活用し、民間職業訓練機関の利用等に使える「職業訓練バウチャー」を求職者に支給する。
  • 若年世代の就職促進のため、中小企業を中心に「お試し採用」が可能となる既卒者支援助成制度を大幅に拡充する。
  • 「 無期・直接雇用=善」という固定観念を捨てて、労働者派遣法を派遣労働者のニーズに合わせて再改正。日雇い派遣の原則禁止を定めた条項等を見直し、女性や高齢者らの多様な就労の機会を確保する。
  • 景気動向や中小企業の経営状況を見極めながら、最低賃金を段階的にアップ。雇用拡大と子育て支援に効果を発揮するよう、残業割増賃金率を他先進国並みに引き上げ、サービス残業の取締りを強化する。
  • 在宅ワークの誘導施策を拡充し、長時間通勤の緩和、労働意欲の高い女性や障がい者等の就労促進に努める。
  • ハローワークと民間人材サービス企業の役割分担と連携を強化。求職者情報はハローワークで一元管理する一方、人材サービス企業がハローワークのデータベースを活用し、求人企業とのマッチングに努める。
  • 地域経済に直結した雇用労働に関する制度運用は、地方自治体に原則移管。第一歩として、ハローワークの地方移管を早期に実施する。
  • ムダ遣いの象徴であった独立法人雇用・能力開発機構は独立法人高齢・障害・求職者雇用支援機構への看板の架け替えがなされただけで、実質的には存続している状態であるため、早急に廃止する。ムダ遣いの元凶となってきた労働保険特会は廃止を含め抜本的な見直しを行う(独法廃止の修正案提出)。
  • 専門技能を有する外国人労働者の受入れを拡大する。
  • 雇用保険と生活保護の隙間を埋める新たなセーフティネットを構築。雇用保険が切れた長期失業者、非正規労働者等を対象として就業に直結する職業訓練を実施。その間の生活支援手当を給付し、医療保険の負担軽減策、住宅確保支援を行う。
6.「平成の農地改革」で農業を地域の基幹ビジネスとして育成し、食料自給率を向上
  • 政府は国全体の農業生産に関与するが、農林水産業や農地関係のルールは各地域で決められるようにする。
  • コメの減反政策(生産調整)を段階的に廃止。農地転用規制(「ゾーニング」=土地利用規制の導入等)を徹底し、耕作放棄地を有効活用できる仕組みを確立する。
  • 減反政策廃止によるコメ価格の急激な下落を避けるため、意欲的な農業従事者に対して「直接支払い制度」を導入する。
  • コメ価格下落によって需要(輸出を含む)を増加させ、生産規模の拡大を通じて農家の収益性向上を目指す。
  • 農業生産力向上につながる規制改革を進め、「新農業法」の制定によって農業分野への株式会社の新規参入を認める。
  • 法制、税制、金融施策を通じて農業従事者の法人化を支援する。
  • 農業委員会に代わり、外部委員が多数を構成する「平成農業再生委員会」を創設する。
  • 農協の地域独占体質を排するために「農協改革」を断行する。
  • 農業の第6次産業化を推進し、アジア市場への農産物販売を後押しする。
  • 植物工場等、生産力工場につながる技術開発、設備投資を全面的に支援する。
  • 小水力・木質バイオマス等、農山漁村における新エネルギー事業を支援し、環境保全と地域活性化を図る。
7.成長産業となる林業を実現
  • 国産材の需要拡大を図るため、公共建造物の木造化、木質バイオマスの利用、木材製品購入エコポイントの導入等を推進する。
  • 路網整備に、地方の建設業の人材・技術・機械を最大限利用する「林建共働」で林業を活性化し、地方の雇用を確保する。
  • 高性能林業機械の開発およびリース利用を推進し、生産性の向上を図る。
  • 防護柵の設置等、有害鳥獣被害の防止策を強化し、駆除鳥獣を有効活用する。
  • 優良無花粉・少花粉スギの植栽面積を拡大し、花粉症の解消に努める。
8.資源管理と技術革新で稼げる漁業
  • 漁獲量を科学的に管理し、品質管理を向上させて日本漁業の復活を期す。
  • 乱獲防止のための割当て制、漁業者の休業補償を導入する。
  • 老朽化した漁船の所有者に対し、環境に配慮した代船建造を支援し、水産業のグリーン化を進める。
  • 地域ブランドの確立、海外への販路拡大を支援し、水産物の価格競争力を向上させる。
  • 養殖技術の向上、栽培漁業の推進、水産加工の新商品開発等を支援し、漁業の生産量増大を図る。
9.脱”バラマキ”による公共事業で地域のインフラを整備
  • 公共事業の採択にあたっては費用便益分析(B/C)の基準を設け、採算性(防災効果等を含む)の確保されるもの以外は着工を認めない。採算性の判断は、第三者機関が公平かつ透明性を持って担う。
  • 公共事業にコンストラクションマネジメント(CM)を導入。指名を受けた全体統括者がゼネコン系列の枠を超えて発注を行い、2割のコスト削減を目指す。
  • 公共事業入札への中堅・中小企業参入を促すため、民間金融機関が建設会社の経営審査を行う「入札ボンド制」の導入を検討。下請け施工業者の実績に評価を加え、下請け業者にも一般競争入札参加への途を開く。
  • 建築物の断熱工法を従来の内断熱主体から、世界的な主流である外断熱標準へと切り替え。公営住宅から導入し、省エネルギー、長寿命化、シックハウス症候群の解消等を図る。
  • 住宅ローン完済時には無価値となるようなスクラップアンドビルド型の住宅市場を改革。中古住宅の流通市場を整備し、自宅の売却資金で老後の生活資金をまかなうリバースモーゲージを可能にする。
  • 地域主権型道州制の導入を前提として、地域交通業者の再編を進め、営業範囲の広域化を後押しする。
10.「官製市場」の開放(通信・IT等)で経済活性化を
  • 航空業界では、競争力向上につながる「空の自由化」(オープンスカイ)を推進。国際線航空運営体制やハブ機能のあり方等、グランドデザインを見直す。
  • 空(空港)と海(港湾)の一体的運用を実現するため、ポートオーソリティを設立。港のライナー化を促進し、国際物流コストの低減を目指す。
  • 通信、放送、IT分野で世界的に通用する企業を育成。規制と裁量行政によって歪められてきた市場、消費者の利便性を軽視してきた高コストな事業者体質を改め、競争が生まれる環境をつくりだす。
  • 携帯通信事業者への新規参入を開放し、世界で最も高いスマートフォン通信料を始め、携帯電話料金の引き下げを促す。プリペイド携帯電話に関わる本人確認の規制見直し等によって、欧州ではスーパー等でも販売されている機能限定の安価なプリペイド携帯電話の市場を創出。不正利用防止に留意しつつインターネット販売の解禁を検討する。
  • 携帯電話向けの「周波数オークション」を実施。電波の利用価値の最大化を目指し、透明かつ迅速な周波数割り当てを実現する。数兆円規模が見込まれるオークション収入は、一般財源として国庫で活用する。
  • 電力のスマートメーター、交通システム、遠隔医療、気象観測等の機械間通信(M2M)の電波利用料を撤廃し、新規の市場参入を促進する。
  • 2014年に予定されるNTT組織再編の再検討を機にNTT法の廃止と完全民営化を推進。政府保有株式(発行済み株式の約33%)の売却によって約1.6兆円の国庫収入を確保する。
  • NHK受信料を再度引き下げ。人件費に加え、関連法人を含めた経営形態を見直し、抜本的な経営合理化を求める。
  • 医薬品販売規制の他にも食品表示の規制等、ITビジネスを阻害する過度な規制を排除する。
  • 東京メトロと都営地下鉄の経営一元化を早期実現。利用者の利便性向上と政府保有株式の売却による財源確保を目指す。
  • 水道事業を民営化。世界で最も上質な上下水道を供給できる「和製水メジャー」として国内・海外展開を目指す。
  • コンピュータ解析により気象予報を作成している現状を踏まえ、各都道府県に置かれている地方気象台を再編する。
  • 年間訪日外国人客数1,500万人の達成を目指し、統合リゾート(IR)等をモデルに観光施設の整備を進める。東京オリンピック・パラリンピック誘致を推進する。
B 「社会保障不信」の解消と「世代間格差」の是正によって、若年世代には希望を、高齢者には安心をもたらすセーフティネットを再構築する
1.世界最先端の医療と切れ目のない介護・障がい者施策ですべての人に「生涯安心」を
  • 医師数をOECD(経済協力開発機構)加盟国平均の人口千人当たり3人に増やす。医学部・メディカルスクールの新設を解禁。かかりつけ医と専門医の役割分担を明確化する。
  • 健康保険制度を段階的に一元化。官民で保険料率に格差がある現行制度の不公平を是正する。安定的な制度運営のため、運営規模は地域主権型道州制を想定したブロック単位とする。
  • 健康保険料の月収上限(月額121万円)を撤廃し、所得に応じた負担によって健康保険行政の安定を確保する。
  • 医療のIT化を推進。レセプトチェックによって医療費のムダ削減を徹底する。
  • カルテと薬剤オーダリングのIT化を通じ、同一効能で価格の安い後発(ジェネリック)医薬品の採用を進め、薬剤費の削減を目指す。
  • 混合診療を解禁、ドラッグラグやデバイスラグを解消し、世界最先端の医療機器や医薬品が速やかに国内で使用できる体制を整える。
  • 訪問看護ステーションの1人開業を認める等の規制緩和を推進。医師・歯科医・看護師・介護士等が医療従事者や地域と連携する地域医療・介護体制を構築し、同時に在宅医療体制も整備する。医療行為を認められた看護師(ナース・プラクティショナー)資格の導入を検討。看護師の処遇改善を進め、休眠看護師が再び復帰できるようにする。
  • 療養病床、特別養護老人ホーム、介護老人保険施設、在宅ケア、高齢者住宅等の役割を再検討。高齢者の視点に立つ、地域ごとのニーズに合った総合的な高齢者福祉政策を実現する。
  • 独立行政法人が管理する社会保険病院等を民間運営へと転換し、赤字体質の改善を図る。
  • 介護職員の待遇を継続的に改善。正規・非正規・派遣等の就労形態による格差を是正する。
    外国人介護士の受け入れは急務であり、受け入れ条件を根本的に見直す。
  • がん登録を法制化し、在宅緩和ケアを推進する。難病対策では公平な救済に努める。腎疾患への総合的な対策を確立する。肝炎の検診、治療法研究を含む総合的対策を確立する。
  • 「 こころの健康基本法」を早期に制定する。精神医療における向精神薬への過度の依存を是正する。自殺予防対策で内閣府、厚労省、文科省の連携を強化。WHOの自殺報道のガイドラインを活用。
  • 労働安全衛生法で歯科検診を義務づける。
  • 医療事故調を早期に設置する。薬害防止のための第三者機関を厚労省から独立して設置する。
  • 障害者自立支援法違憲訴訟の基本趣旨に沿った障がい者施策を目指す。災害時に障がい者を孤立させないよう、地域NPO等と連携して体制を築く。
2.歳入庁設置による社会保障の充実
  • 税と社会保険料を一元的に管理する「歳入庁」の設置により、社会保険未加入事業所の「消えた保険料」の徴収確保を実現する。さらに、任意拠出、相続税減免恩典付きの社会保障貯蓄口座を社会保障口座の中に開設可能とする。
  • 年金は、「払ったものが返ってくる」積立方式への移行を検討。若年世代が「払い損」にならないよう保険料納付率の向上を目指す。年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は積立方式への移行によって廃止する。
  • 年金保険料の月収上限(月額62万円)を撤廃。所得に応じた負担を求め、年金財源の安定を確保する。
  • 被用者年金の一元化に際しては、厚生年金、共済年金の積立金も一元化する。
  • 税金と社会保険料を合わせた「社会保障個人口座」を開設し、「社会保障電子通帳」を交付。医療・介護、年金等の負担と給付の関係を明確化。また、その個人口座を使い、個人の選択による自前のセーフティネット構築(お好みメニュー)を可能とする。
  • 所得の捕捉を公平に行うため、税、社会保険料を通じた「社会保障番号制度」を導入する。その実現と所得捕捉の徹底を前提として、高所得高齢者への年金支給減額を検討する。
3.社会的弱者に配慮した所得再分配を強化
  • 低所得者層への「給付つき税額控除方式」の導入や、生活保護制度の不備・不公平、年金制度との不整合等の問題を段階的に解消し、最終的には、基礎年金や生活保護を統合した「ミニマムインカム」を創設する。
  • NPO等が貧困層対象のマイクロファイナンス(マイクロクレジット)を実施できるよう法改正・規制緩和を進める。
4.「子ども(児童)手当」の抜本的な見直しと少子化対策
  • 民主党、自民党、公明党の談合政治で導入された「子ども(児童)手当」はバラマキ政治の象徴。地域主権の観点から、地方自治体の創意工夫による現物・現金給付へと見直す。
    現金給付は子どもの多い家庭への支援を打ち出すために、子どもの数に応じた傾斜配分を拡充する。
  • 子育てしながら働ける環境(待機児童ゼロ、家庭的保育や病児保育、一時保育の拡充、育児休暇取得の円滑化、職場の意識改革、男性の育児休暇取得率の向上等)を整備する。
  • 最も待機児童が多い0-1歳児については、家庭的保育の受け入れを大幅に増やす。
  • 家族の在り方が多様化したことを受け止め、シングルマザーのみならずシングルファザーに対する支援を充実する。
  • 同じ所得の場合、子どもが多いほど税負担を緩和する。
  • 幼児医療の無償化、不妊治療の助成拡大、小児緊急医療体制・新生児集中治療施設(NICU)の拡充を図る。
  • 高校、専修・専門学校、大学等の高等教育機関への奨学金制度を拡充(出世払い・返済不能型の活用等)する。
  • 地域の実情に合った少子化対策を行うため、中央集権的なやり方ではなく、地方自治体の裁量を広げ、地域ごとに柔軟に対応できる仕組みとする。
  • 以上の施策を実施するため、権限、財源、人間を地域に移譲する。
5.女性が活躍できる社会に
  • 公務員の女性管理職の倍増を目指す。民間企業でも女性が経営者、管理職に就けるようキャリアパスを支援する。
  • 女性が結婚・出産で退職を余儀なくされて起きる「M字カーブ型」の雇用状況を改めるため、正規・非正規労働者を問わず、男女ともに育児休暇取得や短時間労働の推進を図る。
  • 女性の起業を支援。介護事業に代表されるソーシャルビジネス等の担い手として女性の力が活用される土壌をつくる。
  • 総務・管理系の業務のアウトソーシング(BPO)が進む状況を踏まえ、育児中の女性等が、ITを活用した在宅ワーク可能な環境を創出することによって、就職でき得るチャンスを広げる。
C 地域の実情に応じた教育を推進する
1.教育委員会の設置は地域で判断
  • 地方自治体の判断により教育委員会を設置するか否かを決定できるようにする等、地域の実情に応じた教育行政が展開できる環境整備を図る。
  • 教育は市町村、現場の学校に任せることを基本とし、国の役割は最低限の教育水準の維持にとどめ、それぞれ地域の実情に合わせたユニークな教育を実施する。
2.地域による基礎教育・公教育を充実
  • 教育の機会均等が保たれるよう公教育の建て直しを図る。
  • 少人数・体験・個性重視の教育を実現する。
  • 職業教育を充実、高度化する。
  • 芸術・文化・スポーツ・武道等を振興する。
  • 学校教育のIT化を推進。
  • 教員の質・指導力の向上等により、理科離れの防止を図る。
  • 国際化時代にふさわしい人材を育成するためには英語力の向上が必要であり、学校教育において英語力を図る尺度として、TOEFL等を使用する。
  • 親の所得格差で教育格差が広がらない環境を整備する。
  • 公務員の教職員による政治活動を全面禁止する。
  • 日本の領土に関する考えを教科書に記載し、しっかり教育する。
  • 学校を地域社会に開放し、地域社会の核に。学校経営も保護者、住民、教育専門家等を入れた運営委員会で実施する。
  • 高校、専修・専門学校、大学等の社会人教育コースを充実させ、豊かな生涯学習社会の構築を図る。
3.いじめ対策の強化と子どもの安全確保
  • ロールプレーの活用等を通じ、いじめ防止教育を継続的に実施する。
  • 現役の教職員に加え、教員志望者に対していじめ問題に関する研修を充実。また、保護者にも講習を実施する。
  • 児童・生徒に対して無記名アンケート等を実施する等して、いじめを隠ぺいさせず、早期発見と解決につながる方策を講じる。
  • スクールカウンセラーを全校に配置し、弁護士による相談窓口も設置する。
  • 現場の教員だけに責任を負わせず、いじめが見つかった場合、直ちに校長へと報告が届く仕組みを構築する。
  • 犯罪に相当するいじめに対しては、警察が犯罪として対処する。
  • 校舎の耐震化に加え、非構造部材の落下防止、大規模改修等を通じて老朽化対策を図る。
  • 学校・地域が一体となった防災教育を推進する。
  • 通学路の安全確保対策を強化する。
4.グローバル人材の育成と確保を促進する
  • 留学経費、海外での学位や単位取得を目的とする学生の海外交流を積極的に支援する。
  • 外国人留学生の数を30万人(現在は約14万人)へと倍増させる。
  • そのために大学では英語による授業を拡充。また、国際的な単位互換制度を広げ、日本語教育の環境も強化する。
  • 留学生誘致のため、外務省等と連携して積極的かつ効果的なプロモーションを実施する。
  • 外国大学の日本校設置を促進する。
  • 大学秋入学の環境を整備する。
D “人”を大切にする安全・安心な社会をつくる
1.多様な社会の担い手と共に
  • NPOやボランティア活動を積極的に支援する。
  • 東日本大震災時に重要性が再認識された消防団の団員確保を推進。ボランティアの特別職地方公務員の位置づけは維持しつつ、事故時の保障や待遇改善を行う。
  • 協同組合を事業・経営・労働の担い手として社会的に位置づけ、共助による地域社会の持続的発展を促す。
  • 性的マイノリティに配慮した施策の充実に努める。
2.安全・安心を実感できる社会へ
  • 少年非行と薬物乱用の防止に努める。
  • 暴力団や外国人組織犯罪の壊滅を目指す。
  • 入管体制を強化し、出入国管理を徹底する。
  • 地域主権型道州制の導入を視野に入れ、広域警察機能を創設する。
  • 性犯罪者や犯罪を繰り返す精神障がい者の再犯防止対策を強化する。
  • 無謀運転致死罪の対象を拡大し、無謀運転の厳罰化を図る。
  • 国家間での不法な児童連れ去りを防止するため、ハーグ条約への早期加盟を目指す。

Ⅲ 原発ゼロと経済成長を両立する!

―みんなの党の新エネルギー戦略による電力自由化―
 東京電力福島第一原発事故を受け、原発が安全、環境に優しいエネルギーであるという幻想は崩れ去りました。同時に、「原発は安い」という言説の再考を促すこととなりました。政府が過小に評価した福島第一原発の事故被害額、廃炉費用等を精査したみんなの党の試算では、原発の発電コストは、最高18円/kWh以上。これは、政府試算の天然ガス火力発電コスト(10.4~10.8円/kWh)、風力発電コスト(9.9~17.3円/kWh)を上回ります。原発は今や市場原理によっても淘汰されるべき存在です。それにもかかわらず、原発依存がやまないのは、競争不在の電力業界にとってその方が利益になるからです。その結果、国民に単なる金銭的なコストに留まらない多大な負担を課すこととなりました。
電力自由化による市場原理での原発ゼロ、これがみんなの党が掲げる新エネルギー戦略です。みんなの党は、現在の電力危機を、日本の閉塞感を打ち破る一つのチャンスと考えています。改革するなら今しかありません。既得権益化した巨大電力市場に新規参入を呼び込み、経済活性化と雇用創出の起爆剤とするのです。
また、中長期的には、我が国のエネルギー安全保障(エネルギー自給率)の観点からも、世界全体での化石燃料埋蔵量の限界の観点からも、化石燃料に頼り続けることはできません。今は競争力に劣る新エネルギーも、これを育成することが国益につながります。このため、「将来的な脱化石燃料」を目指して、新エネルギーの導入を強力に推進します。
A 電力自由化による原発ゼロ
1.2020年の電力完全自由化
  • 発送配電分離、東電に関しては所有権分離を敢行する。
  • 総括原価方式を廃止する。
  • 電力事業の地域独占廃止、新規参入を完全自由化する。
  • 託送料、インバランス料金等参入阻害要因の除去、各電力会社による発電の一定割合を卸電力取引所に拠出させる等の施策を検討し、新電力(PPS)による売電を促進する。
  • スマートグリッド、スマートメーターを推進し、需要者・供給者が互換的に電力を取引する市場を形成する。
  • 消費者が自由に小売業者を選べるよう料金メニュー提示等を義務化する。
2.2020年代の原発ゼロを明確に進めるプロセス
  • 新規の原発設置を禁止する。
  • 国会に原子力行政を監視するための特別委員会を設置し、原子力規制委員会が定める世界標準の新基準に適合しない限り原発の再稼働を認めない。
  • 原子力規制委員会内に廃炉・核廃棄物処理を扱う審議会を設置。日本学術会議からの提言を踏まえ、従来の放射性廃棄物の処分に関する政策を抜本的に見直す。
  • 40年廃炉を徹底する。
  • 核燃料サイクル計画を廃止し、使用済み核燃料を直接処分する。
  • 原発停止による電力不足は、環境アセスメント法の適用除外範囲の拡大、手続きの短縮等により、環境負担の軽い天然ガスコンバインドサイクル等の新規発電所設置を促進することで代替。
  • 他国に比べて高価な天然ガス価格の値下げを図るべく、権益確保、パイプライン敷設事業を奨励する。
  • 原発国民投票法を制定する。
B 脱化石燃料に向けた取組み
1.日本国民全員で徹底した省エネ、新エネルギーを促進
  • 省エネ、新エネルギー設備導入に対する支援、税制優遇措置を講じる。
  • 固定価格買取制度については、消費者への負担を最小限にしつつ、新エネルギーの普及を促進できる適正な買取価格を検討する。
  • 原子力関連予算を省エネ、新エネルギー技術開発・活用促進に転用し、集中投資する。
  • 新エネルギーの公平な系統接続を確保する。
  • 気象変動型の電源による系統不安定化には、交流電流周波数の統一、広域連携強化、スマートグリッド導入により、電力市場(市場メカニズム)による需給調整で対応できるようにする。
  • 公害対策(バードストライク、低周波騒音、森林破壊)にも十分配慮する。
  • 立地規制の緩和等、新エネルギー阻害要因を除去する。
  • 従来の原発立地自治体に対しては、原発ゼロ補助金や積極的な新エネルギー発電所への転換推進策によって地域振興、雇用の維持・拡大を目指す。
  • 電力だけではなく、「熱」にも着目し、天然ガスコジェネレーション、バイオマスコジェネレーション、燃料電池コジェネレーションを積極推進する。
  • 地域分散型エネルギーシステムへの転換(地産地消)を推進するため、地方政府の市民参加型エネルギービジョン策定、スマートシティ・スマートコミュニティの導入によるまちづくりを支援する。
  • サマータイムや夏季長期休業等電力消費の集中を分散するライフスタイル導入について国民的議論を促す。
2.次の世代への展望
  • 原子力・エネルギー教育支援事業交付金等を活用した原子力教育が推進されてきた過去を省みてエネルギー教育を一新。環境・エネルギー問題を自己の問題として考えられる教育を目指す。
  • 環境に負担をかけない廃炉・核廃棄物処理のエキスパートを育成。当該分野を日本の21世紀の基幹産業とする。
  • 国内で培われた廃炉・核廃棄物処理技術を海外に輸出、支援するための体制整備に努める。

Ⅳ 日本の再生のためには復興第一!

―東北の被災地から未来を拓く―
 日本の復活には東北の復興が不可欠です。まず、食料基地として、観光拠点として、そして製造業のサプライチェーンの一端を担っていた東北を復興しなければなりません。それは元に戻すだけの復旧にとどまらず、先端技術の駆使した日本の再生モデルをつくることを意味します。東日本大震災の被災地に限らず、衰退に悩んでいる地方都市は全国で散見されます。震災復興から地方を元気にするアイディアやモデルが、地方からも出てくるように、利害調整をはじめ環境を整えることが政治の仕事です。
しかし、民主党政権の対応は真逆です。被災者の生活再建と被災地の社会経済再生が急務であるにも関わらず、2011年度政府予算に盛り込んだ約15兆円の復興予算のうち4割(約6兆円)が未使用です。さらに復興予算の被災地に直接関係ない不適切な使途・流用も明らかとなりました。みんなの党は、復興庁を被災地に設置せず、中央省庁から権限、財源を移さない復興基本法に反対票を投じました。流用問題は、同法成立過程で我々が危惧していたことが、正に現実になってしまったといえるのです。被災地の復興を迅速に推進するためにも、地方のことは地方で決められるようにすべきです。みんなの党は、現場視点に立って復興を進めてまいります。  また復興の足かせとなっているのが、原発事故問題です。現在も放射能漏れは止まっていません。その対策も始まったばかりです。チェルノブイリ原発事故では、事故後長年にわたり、汚染食物摂取による健康被害が問題となっています。特に成長期の子どもや妊婦に対する放射線の影響は深刻です。この教訓を福島第一原発事故後の対策に十分に活かしていかなければなりません。
子どもと妊婦を放射能被害から守ります。原発事故被害で最優先課題として取り組むべく、他党にさきがけ2011年8月初旬に議員立法案を策定、全ての野党による「子ども保護法案」を提出しました。政局とは関係なく、スピード重視と適確な政策立案能力が兼ね備わったみんなの党ならではの、まさに立法府の本分としての活動が、妊婦も含む支援、食品の検査、避難者の支援、施策決定の透明性等、みんなの党のオリジナル提案が反映された形で、超党派により法案が成立しました。
東日本大震災で得た教訓を、日本のみならず、”人類の教訓”として世界の国々と共有できるように努力していくことが日本の使命だと、みんなの党は考えます。
A 原発事故災害から国民の生命を守る
1.放射能の不安を一掃する
  • まずは子どもと妊婦が守られるよう、放射能汚染が疑われる食品の原則全品検査をする。放射線測定結果を詳細に公表し、農水産物等に対する風評被害を一掃する。
  • 帰還が可能となった区域の徹底的な除染。
  • 被ばくが懸念される原発関連作業員の放射線量管理と健康管理を国が責任を持って行う。
  • 科学的知見が確立していない放射能による健康被害に関し、未然防止の観点からあらゆる対策を、国策として原子力推進をしてきた国が主導して進める。
2.被災者支援の充実
  • 避難者と被災地域の住民に対する「医・職・住」の支援。
  • 福島県のみならず放射能被害を受けた地域の住民の健康調査を国が責任を持って実施する。
  • 東京電力福島第一原発周辺の帰還困難な汚染地域については、国が買い上げ・借り上げを実施する。
B 震災被災地の復興を日本再生のモデルに
1.被災地対象の新たな取組み
  • 復興庁の本庁を霞ヶ関から被災地に移転し、決裁権を持つ専任大臣を原則常駐させる。東北地方整備局を復興庁の傘下に置き、地域主権型道州制移行の先行ケースとして現地主導の復興事業を進める。
  • 憲法上、非常事態法制の整備を明記する。
  • 被災地への進出企業を対象として、「法人税ゼロ」を含めた大胆な税制優遇措置を講じる。
  • 被災地における農林漁業の規制を緩和。民間企業等の新規参入を促し、衰退産業からの再生を目指す。
  • 新エネルギーや植物工場等、成長産業の立地に関する優遇措置を被災地で拡充する。
2.現場に寄り添った復興支援
  • 復興資金の財源は、国が配分権を握る復興交付金ではなく、被災自治体の判断で使える復興基金を中心とする。
  • 被災者の目線で災害救助法の運用を改善する。
  • 被災地で医師・看護師を確保するため、診療報酬の特例的加算等を実現する。
  • 災害時に医療・看護・介護が連携して活動できるよう通行証の発行等に関わる行政の運用を改善する。
  • 被災事業者及び個人の二重ローン負担が早期解消するよう「東日本大震災事業者再生支援機構法」を改正。震災前の簿価を基準とする二重ローン債権の買い取りを進める。

Ⅴ 「地域主権型道州制」で格差を是正する!

―「3ゲン」を移譲し、消費税は地方の財源に―
 日本では長らく、官僚が全国を画一的に支配する中央集権体制がまかり通ってきました。その結果、地方が持っている個性や多様性は無視され、地方は衰退の一途を辿るばかりです。
みんなの党は、「脱中央主権」を進めます。中央集権型でもない、連邦型でもない、まさに地方重視・地域住民主体の「地域主権型道州制」を我が国の「新しい国のかたち」としていきます。
東京の霞ヶ関で仕事をしている官僚では、地域実情に疎く、すべてに最善の施策を打つことができません。地方を元気にするためには、国民に最も身近な地域が主体となり、地域住民のために政治を行っていくことが不可欠だと私たちは考えます。
「新しい国のかたち」のもとでは、国、道州、基礎自治体の役割分担を明確に定めます。国が担ってきた仕事の多くは基礎自治体へと移譲されます。中央官庁は必然的に解体・再編され、官僚主導は終焉します。道州の役割は、基礎自治体では対応できないインフラ整備、災害対策等の広域行政です。一方、基礎自治体に代わって、民間のNPO等が仕事の一部を担います。
そうした新しい行政の仕組みをつくるためにも、3ゲン(権限・財源・人間)を地方へと徹底的に移譲することが必要不可欠です。これまでのような「国のヒモ付き補助金の一括交付金化」では、中央による地方への統制が続くだけで、地方が真に独立していくことができないからです。
みんなの党は真の地域主権を達成するため、2012年3月29日に「道州制への移行のための基本法案」を参議院に提出し、「地域主権型道州制」実現に向けて先頭に立ってきました。今後10年以内に地域主権型道州制への完全移行を果たし、中央集権を打破することを私たちは目指します。
A 地方が主役の統治システムを構築する
1.地方自治体へ3ゲン(権限・財源・人間)を移譲し、地域のことは地域で決定
  • 「 ひも付き補助金」と「地方交付税」を廃止。地域主権型道州制を導入した際には、消費税等を地方自治体へ完全移譲する。
  • 「 地方交付税」の廃止に伴い、国主導ではない自治体間の財政調整の仕組みを法制化する。
  • 国の直轄事業は段階的に縮小・廃止し、地方へと移管。地方の負担金は2014年度から維持管理費負担金を廃止し、本体部分も直轄事業の地方移管に伴い廃止する。
  • 地方自治体事務に対する国の「義務付け・枠付け」を廃止し、自治立法権、道州・基礎自治体の課税自主権、住民参加等が保証された地域政府を確立する。
  • 以上の地域主権改革の進め方については、国と地方自治体との協議(自治体からの提案権を含む)等の法的枠組みを設けて具体的に決定。国が首長代表者を選定して協議の場を設けるのではなく、地方の側が主体的に意見を述べられる場を設定する。
  • 地方公務員制度改革においても、国家公務員に準じて地方自治体主導で実現する。
2.地域主権型道州制実現に向けての先行的施策を推進
  • 安全保障や司法等国に残る業務を除き、都道府県単位に置かれる国の出先機関廃止によるスリム化を促進する。
  • 市町村・都道府県・国の三重行政の弊害を解消。基礎自治体が主体となる事務については、広域行政の指導調整を一本化し、基礎自治体・国の二層式行政システムを導入する。
  • 地域主権型道州制によって飛躍的に地方自治体の位置づけが高まるという観点からも、外国人参政権の付与には反対。参政権行使には日本国籍を取得。
B 地域主権型道州制に合わせた霞ヶ関改革を断行する
1.「新しい国のかたち」を実現
  • 10年以内に「地域主権型道州制」へと移行。
  • 内閣に道州制担当専任大臣を置き、地域主権型道州制の理念、実現までの工程表、地方の代表も参加した遂行機関の設置等を明記した「道州制基本法」を早急に制定する。
  • 10年以内の地域主権型道州制確立に向け、4年以内に地方への財源移譲の道筋をつける。 現在、「6:4」である国と地方の歳入比を大幅に改め、国・道州・基礎自治体が「2:3:5」の割合で歳入を得られる仕組みを目指す。第一歩として2014年度には、国と地方の財源配分「5:5」を実現。その後も、財源移譲に伴い地方配分比率を引き上げていく。
  • 地域主権型道州制との関係で、国会の立法事項を限定する。
2.霞ヶ関を解体・再編
  • 中央官庁の役割を外交・安全保障、通貨、マクロ経済、社会保障のナショナルミニマム等に限定して大幅に縮小。国に残す機能を強化する一方で、現在の省庁を大幅に再編・削除する。
  • 地方出先機関は一部(徴税、海上保安庁等)を除いて先行的に移管又は廃止する。
  • 上記に伴い、2014年4月以降の消費税増税法は廃案とし、消費税、法人税等の税財源、国の資産・負債を再編成。消費税は地方に完全移譲し、地方の基幹・安定財源とする。

Ⅵ 激動する国際情勢の中で戦略的な外交を!

―日米同盟を基軸に国民・国土を守り、世界の平和に貢献―
 近隣国との領土をめぐる対立、中国やインド、ロシア、ブラジル等の急速な経済発展、民主党政権下での日米同盟の混乱、北朝鮮の拉致問題や核開発等、日本を取り巻く国際環境は厳しいものがあります。日本は世界第三の経済大国です。政策の過ちによって活かしきれていない高度な技術力と優秀な労働力、そして高い防衛力、さらには米国や豪州、インド、ASEAN諸国等との信頼関係に基づく外交力も有しています。しかし、この数年間、政界では不安定な短命政権が続き、国際社会における日本のプレゼンスは低下していくばかりです。
いまこそ外交・安全保障の体制を建て直し、日本の潜在力にふさわしい外交を取り戻さなくてはなりません。みんなの党は、日本が自由と人権を重んじる先進民主主義国として、世界の平和と安定にさらに貢献できるよう、貧困や地球環境問題、核拡散防止、テロ・海賊対策にも積極的に取り組みます。そして、米国との同盟関係を強化し、防衛力の整備に努め、国民と国土を守るための万全の体制を構築します。
A 国民と国土をしっかり守る
1.戦略的な外交安全保障体制の構築
  • 相互信頼に基づく日米同盟体制を我が国の安全保障の基軸とする。
  • 対等な同盟関係という立場から、日米地位協定改定を提起し、「思いやり予算」も見直す。沖縄県の米軍基地負担軽減等の面から、米国に言うべきことは言い、求めるべきは求めていく。
  • 普天間問題では、民主党政権で壊された沖縄との信頼関係を一から醸成。我が国の安全保障の確保、沖縄の基地負担軽減(オスプレイ配備も含む)等の観点から、地元や米国との合意形成を行う。
  • 中国とは経済関係を強化し、人的交流・文化交流を拡大。海上保安機関及び防衛当局間の海上における連絡メカニズムを整備し、相互の信頼醸成に努める。尖閣諸島問題については、領土問題は存在しないという事実を国際社会に周知する。
  • 先進民主主義国家として価値観を共有する韓国とは北朝鮮の拉致、核開発問題の解決に向けて関係を改善・強化。竹島問題については、国際司法裁判所(ICJ)等で国際法に則って平和的な解決を模索する。
  • 安全保障会議の事務局機能を強化(日本版NSC)。国家戦略を明確化し、的確な政策オプションが提示できる体制を整える。
  • インテリジェンスの集約・分析機能を強化。正確な情報がタイムリーに政府首脳に伝わる体制を構築する。
  • パブリック・ディプロマシー(広報外交)強化のため、外交・安保政策のシンクタンクや国際交流基金による調査研究、知的交流を拡充。世界に向けて日本の考えが発信できる基盤を強化する。
  • 海上保安庁の体制強化に努めるとともに、尖閣諸島の支配を有効にするための措置を講じる。
2.新たな脅威に備える防衛力見直し
  • 陸海空の各自衛隊のバランスを再検討。人員の陸自偏重を改め、海上自衛隊と航空自衛隊に予算や人員を配分。防衛力の南西シフトをさらに進める。
  • 原子力発電所やその他重要施設の警備体制を強化し、テロ等による攻撃に備える。
  • サイバー戦の対処能力を強化する。
  • 防衛省・自衛隊の情報収集能力、情報漏洩防止策を強化する。
  • 島嶼防衛のための整備の見直しや部隊の再編成を進める。
  • 即応予備自衛官・予備自衛官・予備自衛官補の大幅な増員を図る。
  • 防衛省の調達システムを改革する。
  • 自衛隊の災害対処能力をさらに高めるための体制を整備する。
  • 我が国を防衛し、また、国際平和に貢献するため、自衛権の行使の範囲や限界等を法律により明確化する。
B 世界の平和と安定に貢献する
1.地球規模の課題解決に積極的に貢献
  • 「 人間の安全保障」の観点から、地球環境問題、食糧危機、水不足、教育、医療・福祉、貧困撲滅等の分野で、ODA等を使って人的・技術的・資金的に貢献する。
  • 唯一の被爆国として「核廃絶」の先頭に立ち、「核軍縮」や「核不拡散」に主導的役割を果たす。広島、長崎で世界軍縮会議を開催する。
  • 安全保障理事会の常任理事国入りも含め、国連改革を実現。日本人の国連職員の増加を図る。外務省における多国間外交実施体制を強化する。
  • インド洋やマラッカ海峡の海賊・テロ対策のために、海上保安庁やJICAによるODAで各国の海上保安機関の能力向上に貢献する。
  • 平和構築・平和維持を外交政策の柱として、国連の人道援助活動やPKO活動に積極的に参加。世界の紛争地の和平仲介や調停に取り組む。
  • 「 難民保護法」を制定し、難民(政治亡命者)に対する保護を充実させる。
2.「アジアの中の日本」を重視した外交を展開
  • インド、豪州、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン、ベトナム等の太平洋諸国との間で、経済や安全保障を含めた戦略的な提携関係を強化する。
  • 北朝鮮の核開発問題では、韓国に加えて米国、中国とも連携し、臨機応変に経済制裁措置を活用しながら解決する。拉致問題については、平壌宣言に基づく二国間交渉を進める一方、国連「人道に対する罪」調査委員会の設置等を通じ、国際社会からの一致した行動を喚起しつつ、経済制裁を含め解決のためにあらゆる手段を講じる。
  • ロシアとは天然ガス供給等を含めた包括的な経済関係を強化。北方領土問題の平和的な解決に向けて話し合う。

Ⅶ 財源はしっかり手当する!

―ムリ・ムダ・ムラを削減し、不要資産を売却―
 みんなの党は、①マクロ、ミクロの政策を総動員することで経済を成長軌道に乗せることによる税収増、②行政のムダをなくし、効率的でスリムな政府をつくることによる歳出減、によって財政を再建します。クリントン政権下の米国等諸外国の実例をみても、増税ではなく経済成長と歳出削減の組み合わせで財政再建は成し遂げられています。
みんなの党は地域主権型道州制が実現した際には消費税を地方税化すべきであると考えていますが、現在、民自公3党が推し進めるデフレ経済下の消費税増税には断固反対です。日本ではこの20年あまりの間で国の税収が約60兆円から約40兆円へと3分の2に落ち込んでしまいました。消費税率は97年に5%へ引き上げられたものの、景気の落ち込みによって98年度以降ずっと、97年度の税収を上回った年が1年度たりともありません。この歴史的事実が、増税を行っても経済に致命的な打撃を与えてしまっては財政再建が遠のくということを如実に物語っています。
復興予算の流用問題の本質は、復興の名のもとに安易に増税を認めてしまったがゆえに、税金は別のものに都合よく使われてしまうことです。消費税増税も名目上は社会保障に使うとされていますが、これまで一般財源から社会保障に充てられていたお金が、国土強靭化や防災・減災の名のもとに公共事業バラマキに使われてしまっては財政再建にはまったく役立たないことになります。安易に増税を認めてしまっては増税の先にまた増税の繰り返しとなりかねません。だからこそみんなの党は「増税の前にやるべきことがある!」と主張し続けています。
みんなの党はこれまで国会において、予算の修正動議の提案、法案提出等のかたちで、財政健全化にむけた数々の主張・提案を行っています。
A 社会保障財政を強化する
1.歳入庁の創設
  • 国税庁と日本年金機構等に分かれている税金と社会保険料の徴収の一元化を図ることによって、徴収漏れが多く発生している厚生年金保険料等の徴収率を向上させる。
  • 健康保険料収入・年金保険料収入の増加と国庫負担額減少により、およそ年間10兆円程度の公費負担の減少が見込まれる(フロー)。
2.社会保険料支払額の上限撤廃
  • 健康保険及び年金保険料に設定されている月額報酬に基づく上限をなくすことにより、収入に応じた保険料負担とする。
  • 民間と公務員を合わせて、およそ年間2兆円程度の保険料増収が見込まれる(フロー)。
3.社会保険料率の統一
  • 健康保険の保険料率を協会けんぽの保険料率(全国平均)に統一する。
  • 民間と公務員を合わせて、およそ年間2兆円程度の保険料増収が見込まれる(フロー)。
4.上記1~3の実現により、全体の保険料率を引き下げ
B 民間にできることは民間に任せる
1.郵政民営化の推進と日本郵政株式の早期売却
  • 3党合意で後退してしまった民営化を改めて元の軌道に戻し、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式も早期に全株売却する。
  • 純資産から試算される売却金額はおよそ6.5兆円(ストック)。
2.政策投資銀行と商工中金の民営化と株式売却
  • 金融は民間のプロによるビジネスであるという認識のもと公的金融機関は最小限にとどめる。
  • 純資産から試算される売却金額はおよそ1.6兆円(ストック)。
3.日本たばこ、NTT等の政府保有株式の全株売却
  • 政府の持ち分維持による民間会社への経営関与をやめる。
  • 市場時価から試算される2社の売却金額はそれぞれ2.3兆円、1.6兆円、そのほかに東京メトロ株式の売却等を合わせれば、4兆円を超えると見込まれる(ストック)。C 身を切る改革から始める
1.国会議員、国家公務員人件費の削減
  • 国会議員の定数の約4割削減、給与3割・賞与5割カット、国家公務員人件費は2割削減する。
  • 現在国家公務員に適用されている2年間限定の7.8%カットでは年間2,900億円しか削減されないのに対し、1兆円超の削減となる(フロー)。
2.地方公務員人件費の削減
  • 民間との格差が広がる一方の地方公務員人件費を国家公務員同様2割削減する。
  • 地方公務員への人件費削減の波及効果は4兆円規模となる(フロー)。
3.公務員宿舎・独法等の国有資産売却
  • 全国に20万戸ある公務員宿舎のうち大半を売却する。
  • 財務省のデータに基づくと少なくとも1.4兆円の売却金額が見込まれる(ストック)。
4.バラマキの見直し
  • 根拠の乏しい恣意的な民主党のバラマキ施策を凍結し、見直す。
  • 実施されているバラマキ施策を凍結することで3.5兆円の歳出抑制となるが、制度を見直して改めて実施することになればその分抑制効果は減殺(フロー)。
5.特別会計剰余金の活用
  • 国債整理基金特別会計の積立金を活用する。
  • 特別会計に毎年定率繰り入れが行われているために、使われないままに温存されている積立金は約10兆円(ストック)。
  • 労働保険特別会計の剰余金を取り崩す。
  • 保険料の取り過ぎで生じた資産と負債の差額として計上されている剰余金は約4.2兆円(ストック)。