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現役出向と天下りに関する質問主意書

提出者: 桜内文城
提出日: 2010/08/06
回答日: 2010/08/20

質問第二三号

現役出向と天下りに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十二年八月六日

桜 内 文 城   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿


   現役出向と天下りに関する質問主意書

 本年六月に閣議決定された国家公務員の退職管理基本方針においては、省庁の局長、部長級の幹部職員についても現役での民間企業への出向を拡大する方針が掲げられている。
 そこで、以下質問する。

一 国と民間企業との間の人事交流に関する法律(以下「官民人材交流法」という。)においては、省庁の職員を民間企業へ出向させる場合、省庁の長は、あらかじめ、出向させる職員の「同意を得なければならない」とされている。これは、職員は民間企業への出向を法令上、拒むことができると解釈できるが、政府としてもその解釈で良いか。

二 職員が民間企業への出向を拒んだ場合、代わりに省庁内に当該職員のためのポストを用意する必要がある。このポストを省庁内に用意しなかった場合、省庁の長は官民人材交流法違反に問われることになると思料されるが、これについての政府の見解如何。

三 国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官を務めた古賀茂明氏は、所属する経済産業省から大手民間企業への出向を打診され、断ったところ、望月晴文経済産業事務次官から「君は辞めるしかないな」と告げられ、省内に残ってもポストが用意されていない旨、説明されたと報じられている。官民人材交流法の規定に照らせば、望月次官の発言は同法違反の疑いがあると思料されるが、これについての政府の見解如何。

四 望月次官に三のような官民人材交流法違反の疑いのある趣旨を含む発言があったかどうかについて、政府または経済産業省として調査を行ったのか、行う予定があるのか、明らかにされたい。

五 公務員の「天下り」の定義については、みんなの党の山内康一、柿澤未途両衆議院議員の質問主意書に対する内閣の答弁書において、「府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させること。府省庁によるあっせんを受けずに適材適所の再就職をすることは天下りに該当しない」としている。これを見る限り、政府は「天下り」について「省庁によるあっせんの有無」を判断基準としているようである。しかるに退職管理基本方針における省庁幹部職員の現役出向は、「省庁によるあっせん」なくして成り立ち得ないものである。これは政府の「天下り」の定義に事実上、該当するものではないかと考えるが、政府の見解如何。

六 現役出向については「退職後の再就職あっせんではなく、公務員の身分のまま企業への人材派遣を行うものである」から「天下り」にあたらない、という見解を、直嶋正行経済産業大臣が七月二十日の記者会見において明らかにしている。しかし、出向の対象となる幹部職員の年齢から考えても、幹部職員の現役出向の多くのケースが、事実上、所属省庁の主要ポストに戻ることのない「片道コース」になるのではないかと考えられる。形式的な定義にあてはまらないことをもって、現役出向を「天下り」にあたらないとする見解には無理があるのではないか。政府の見解如何。

七 六の直嶋大臣の記者会見においても、原口一博総務大臣の六月二十二日の記者会見においても、退職管理基本方針に基づく省庁の幹部職員の現役出向は「退職金の二重取りがない」ことをもって「天下り」に該当しないという趣旨の発言が見られるが、このような「天下り」の定義は、今までの政府の見解としては示されてこなかったものである。政府は、このような「天下り」の定義の変更を行ったのか。

八 省庁の幹部職員を民間企業に現役出向させる場合、出向期間、勤務条件、待遇等は、所属省庁と民間企業との間でどのようなプロセスを経て決まるのか、具体的かつ詳細に示されたい。その際に出向期間、勤務条件、待遇等の決定にあたり基準や指針のようなものは設けられているのか、明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書第二三号

内閣参質一七五第二三号
  平成二十二年八月二十日
内閣総理大臣 菅   直  人   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿

参議院議員桜内文城君提出現役出向と天下りに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員桜内文城君提出現役出向と天下りに関する質問に対する答弁書

一について

 国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号。以下「官民人事交流法」という。)に基づき、職員を民間企業へ交流派遣する場合、官民人事交流法第七条第二項の規定により、各省各庁の長等は、あらかじめ職員の同意を得なければならないこととされており、当該職員の同意を得ることができなかった場合は、交流派遣を実施することができない。

二について

 官民人事交流法には、職員の同意を得ることができずに交流派遣をすることができなかった場合に関する規定は置かれていない。

三及び四について

 御指摘の報道については承知しているが、個別の人事に関する検討の過程にかかわることについてお答えすることは差し控えたい。

五から七までについて

 天下りについては、衆議院議員山内康一君提出政府の「天下り」及び「わたり」の定義に関する質問に対する答弁書(平成二十一年十一月十七日内閣衆質一七三第五七号)一についてでお答えしたとおりである。御指摘の「現役での民間企業への出向」のケースを含め、今回、「退職管理基本方針」(平成二十二年六月二十二日閣議決定)に基づき拡大を図った人事交流は、「官を開く」との基本認識の下、中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高めることを目的として、大臣の任命権の下で実施するものである。これらの人事交流は、職員の国への復帰を前提としており、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させる天下りには該当せず、また、その実施のための情報提供等の行為も、天下りのあっせんには該当しない。
 なお、これらの人事交流については、これまでも、職員の国への復帰を前提として実施されてきたところである。また、独立行政法人等への現役出向については、独立行政法人等における在職期間を退職手当算定の際の在職期間として通算し、独立行政法人等の役職員となるため国を退職する際及び国に復帰するため独立行政法人等を退職する際には退職手当は支給しないこととなっている。

八について

 官民人事交流法においては、第六条で人事院による民間企業の公募、第七条で①各省各庁の長等による実施計画の人事院への提出、②職員の同意、③人事院による実施計画の認定、④人事院総裁と派遣先企業との間の取決めの締結、第八条で交流派遣の期間、第九条で交流派遣職員と派遣先企業との間での勤務条件等を含む労働契約の締結、第十二条で職員の服務等が規定されており、交流派遣は、このような法律の規定、人事院規則二一―〇(国と民間企業との間の人事交流)等に基づき実施されている。