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政府の「天下り」および「わたり」の定義に関する質問主意書
平成二十一年十一月六日提出
質問第五七号
政府の「天下り」及び「わたり」の定義に関する質問主意書
提出者 山内康一
政府の「天下り」及び「わたり」の定義に関する質問主意書
元国家公務員の民間組織における再就職は、いわゆる「天下り」として多くの国民が注視する問題である。民主党政権も天下りの根絶をマニフェストで掲げているが、日本郵政株式会社の役員人事を見ても、天下りの定義が曖昧な印象を受け、国民の理解を得られる十分な説明がなされていないと考える。
従って、次の事項について質問する。
一 政府の「天下り」及び「わたり」の定義について
十一月四日の衆議院予算委員会において、前原国務大臣は菅義偉委員の質問に対し、「天下りというのは、早期勧奨退職をし、そして、今まで決まったポストにどんどんかわっていく、そしてまた、それが固定化していく、そういうものを我々は、天下り、わたり、根絶をすると言っていたわけであります」との答弁をしていた。さらに、仙谷国務大臣は渡辺喜美委員の質問に対し、「つまり、だらだら指定席のところに当てはめていくという、ある役所の指定席のところに当てはめていくという場合は、これはもう、まごうことなき天下りであり、あっせんであるというふうに思います」との答弁をしていた。それならば、民間組織において、元国家公務員が定期的または連続的に「指定席」のように就任していた場合は「天下り」に当たると考えるが如何。また、そのいくつかのポストを歴任していた場合は「わたり」に当たると考えるが如何。
二 仮に「天下り」の定義を仙谷国務大臣の言う「だらだら指定席のところに当てはめていくという、ある役所の指定席のところに当てはめていくという場合」とすれば、次の各組織の特定のポストに元国家公務員が連続して就任している場合には「天下り」に該当する可能性がある。次の各組織の過去二十年間における以下のポストにあった者の氏名、生年月日及び任期、元国家公務員である場合はその最終官職をあきらかにされたい。
金融先物取引所 理事長(社長)
社団法人研究情報基金 理事長
社団法人日本損害保険協会 副会長
旧農林漁業金融公庫 副総裁
財団法人簡易保険加入者協会 理事長
株式会社NTTドコモ 副社長
右質問する。
平成二十一年十一月十七日受領
答弁第五七号
内閣衆質一七三第五七号
平成二十一年十一月十七日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員山内康一君提出政府の「天下り」及び「わたり」の定義に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山内康一君提出政府の「天下り」及び「わたり」の定義に関する質問に対する答弁書
一について
「天下り」とは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいい、「渡り」とは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることを複数繰り返すことをいう。お尋ねの「民間組織において、元国家公務員が定期的または連続的に「指定席」のように就任していた場合」については、府省庁がそのあっせんにより、退職後の職員を特定の企業、団体等に定期的又は連続的に再就職させていた場合には「天下り」に該当し、「そのいくつかのポストを歴任していた場合」については、府省庁がそのあっせんにより、特定の退職後の職員を企業、団体等に再就職させることを複数繰り返していた場合には「渡り」に該当するものと考える。
二について
お尋ねについては、各法人の所管省庁において保存が義務付けられている関係書類等によって把握できる限りにおいては、次のとおりである。
東京金融先物取引所理事長、株式会社東京金融先物取引所社長及び株式会社東京金融取引所社長については、吉田太郎一(大正八年十二月二十四日生、最終官職は大蔵省財務官)が平成元年四月二十五日から平成七年五月十九日まで、吉本宏(昭和三年二月十八日生、最終官職は大蔵省理財局長)が平成七年五月十九日から平成十二年五月十六日まで、齋藤次郎(昭和十一年一月十五日生、最終官職は大蔵事務次官)が平成十二年五月十六日から平成二十一年十月二十七日まで、太田省三(昭和二十二年一月二日生、最終官職は大蔵省印刷局長)が平成二十一年十月二十八日から現在までそれぞれ在任している。
社団法人研究情報基金理事長(理事長代行を含む。)については、西垣昭(昭和四年十月三十日生、最終官職は大蔵事務次官)が平成元年七月二十六日から平成二年九月四日まで、平澤貞昭(昭和七年四月七日生、最終官職は大蔵事務次官)が平成二年九月五日から平成四年八月三十一日まで、保田博(昭和七年五月十四日生、最終官職は大蔵事務次官)が平成四年九月一日から平成六年五月十一日まで、長富祐一郎(昭和九年七月二十一日生、最終官職は大蔵省会計センター所長兼財政金融研究所長)が平成六年五月十二日から平成七年六月二十九日まで、齋藤次郎(昭和十一年一月十五日生、最終官職は大蔵事務次官)が平成七年六月三十日から平成十年三月三十一日まで、館龍一郎(大正十年九月十一日生、最終官職は東京大学教授)が平成十年四月一日から平成十三年四月二十二日まで、公文俊平(昭和十年一月二十日生、最終官職は東京大学教授)が平成十三年四月二十三日から現在までそれぞれ在任している。
社団法人日本損害保険協会副会長については、児玉正之(昭和二十二年十一月十一日生)が平成十六年六月三十日から平成十七年六月三十日まで、平成十八年九月一日から平成十九年六月二十九日まで及び平成二十一年六月三十日から現在まで、小澤渉(昭和十五年二月十四日生)が平成十六年六月三十日から平成十七年六月三十日まで、石坂匡身(昭和十四年十二月五日生、最終官職は環境事務次官)が平成十六年七月十五日から平成十九年九月二十日まで、植村裕之(昭和十七年一月二十三日生)が平成十七年六月三十日から平成十八年六月三十日まで、宮島洋(昭和二十五年五月四日生)が平成十七年六月三十日から平成十八年六月三十日まで及び平成二十一年六月三十日から現在まで、石原邦夫(昭和十八年十月十七日生)が平成十八年六月三十日から同年九月一日まで、松澤建(昭和十三年三月三十日生)が平成十八年六月三十日から平成十九年三月三十一日まで、青山雅史(昭和二十年八月七日生)が平成十八年六月三十日から平成十九年六月二十九日まで、兵頭誠(昭和二十年一月二十五日生)が平成十九年四月一日から同年六月二十九日まで、佐藤正敏(昭和二十四年三月二日生)が平成十九年六月二十九日から平成二十一年六月三十日まで、立山一郎(昭和十八年六月八日生)が平成十九年六月二十九日から平成二十年六月三十日まで、福田進(昭和二十三年八月二十六日生、最終官職は国税庁長官)が平成十九年九月二十日から平成二十年九月二十四日まで、荒川勝利(昭和二十年九月十九日生)が平成二十年六月三十日から平成二十一年六月三十日まで、坂篤郎(昭和二十二年四月十四日生、最終官職は内閣官房副長官補)が平成二十年十月十六日から平成二十一年十月二十八日まで、牧野治郎(昭和二十四年十月二十二日生、最終官職は国税庁長官)が平成二十一年十一月六日から現在までそれぞれ在任している。
農林漁業金融公庫副総裁については、宮本保孝(昭和五年三月十八日生、最終官職は大蔵省理財局長)が昭和六十年七月十六日から平成三年八月三十一日まで、安原正(昭和九年四月三日生、最終官職は環境事務次官)が平成三年九月一日から平成六年六月八日まで、千野忠男(昭和九年一月二十一日生、最終官職は大蔵省財務官)が平成六年六月八日から平成八年八月三十一日まで、藤原和人(昭和十三年一月八日生、最終官職は国土事務次官)が平成八年九月一日から平成十二年五月十五日まで、福田誠(昭和二十年六月二十七日生、最終官職は大蔵省金融企画局長)が平成十二年七月十五日から平成十四年六月十一日まで、尾原榮夫(昭和二十年三月八日生、最終官職は国税庁長官)が平成十四年七月二十三日から平成十七年八月二十八日まで、坂篤郎(昭和二十二年四月十四日生、最終官職は内閣官房副長官補)が平成十七年八月二十九日から同年十一月十三日まで、浜中秀一郎(昭和十九年二月十日生、最終官職は在ポルトガル日本国大使館特命全権大使)が平成十七年十二月二十六日から平成二十年九月三十日までそれぞれ在任している。
財団法人簡易保険加入者協会理事長については、稲増久義(大正五年八月二十日生、最終官職は郵政省貯金局長)が昭和五十八年九月十日から平成二年九月十四日まで、仲松次郎(昭和二年十月十一日生、最終官職は郵政省大臣官房資材部長)が平成二年九月十五日から平成六年九月十四日まで、松澤經人(昭和八年三月十九日生、最終官職は郵政省大臣官房資材部長)が平成六年九月十五日から平成十四年一月三十一日まで、足立盛二郎(昭和十九年七月八日生、最終官職は郵政事業庁長官)が平成十四年二月一日から平成十六年六月十六日まで、高橋豊久(昭和十七年十二月五日生、最終官職は郵政省大臣官房首席監察官)が平成十六年六月十七日から平成十九年六月十九日まで、池田仁(昭和二十一年八月三十日生、最終官職は郵政省大臣官房首席監察官)が平成十九年七月一日から平成二十一年六月三十日まで、二村英男(昭和二十四年六月二日生、最終官職は日本郵政公社監事)が平成二十一年七月一日から現在までそれぞれ在任している。
エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社副社長及び株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ副社長については、武内宏允(昭和十一年十二月十四日生)が平成四年五月から平成九年六月まで、佐田啓助(昭和十年九月十八日生)が平成四年五月から平成十年六月まで、小野沢知之(昭和九年五月十六日生、最終官職は郵政省放送行政局長)が平成四年六月から平成十年六月まで、立川敬二(昭和十四年五月二十七日生)が平成九年六月から平成十年六月まで、田島齊(昭和十八年一月十二日生)が平成十年六月から平成十一年一月まで、森永範興(昭和十七年二月十一日生)が平成十年六月から平成十三年十月まで、村瀬龍児(昭和十五年八月三十一日生、最終官職は郵政省郵政大学校長)が平成十年六月から平成十四年六月まで、宇田好文(昭和十六年八月十七日生)が平成十一年六月から平成十四年六月まで、津田志郎(昭和二十年十月五日生)が平成十三年十一月から平成十六年六月まで、中村維夫(昭和十九年十一月十一日生)及び加藤豊太郎(昭和十五年五月十四日生、最終官職は郵政省郵務局長)が平成十四年六月から平成十六年六月まで、石川國雄(昭和二十三年九月二日生)及び足立盛二郎(昭和十九年七月八日生、最終官職は郵政事業庁長官)が平成十六年六月から平成十九年六月まで、平田正之(昭和二十二年七月三十日生)が平成十六年六月から平成二十年六月まで、山田隆持(昭和二十三年五月五日生)が平成十九年六月から平成二十年六月まで、辻村清行(昭和二十五年一月十一日生)、鈴木正俊(昭和二十六年十月三十日生)及び松井浩(昭和二十一年八月六日生、最終官職は総務省総務審議官)が平成二十年六月から現在までそれぞれ在任している。
解説メモ 11月6日付質問主意書に対する回答(11月17日付)
この質問主意書への鳩山内閣回答のポイントは、「天下り」と「わたり」に関して、「府省庁のあっせんさえなければ、官僚OBが指定席のように同じポストに再就職しても問題ない」としている点です。
逆に言えば、府省庁が「あっせんはなかった」と言いはれば、「天下り」も「わたり」も成立しません。「あっせん」があったかどうかの判断は府省庁に委ねられることになり、言い逃れるのは簡単です。
この質問主意書への回答の中で以下のような「指定席ポスト」の存在が確認されました。常識的に考えれば、「天下り」以外の何ものでもありませんし、鳩山内閣の閣僚も以下のように答弁しています。
前原国土交通大臣(11月4日衆議院予算委員会)
「天下りというのは、早期勧奨退職をし、そして、今まで決まったポストにどんどんかわっていく、そしてまた、それが固定化していく、そういうものを我々は、天下り、わたり、根絶をすると言っていたわけであります。」
仙谷国務大臣(11月4日衆議院予算委員会)
「つまり、だらだら指定席のところに当てはめていくという、ある役所の指定席のところに当てはめていくという場合は、これはもう、まごうことなき天下りであり、あっせんであるというふうに思います。」
鳩山内閣の閣議了解を経て出された回答の中で、日本郵政社長の齋藤次郎氏や副社長の坂篤郎氏、同じく副社長の足立盛二郎氏の「まごうことなき天下りであり、あっせん」が確認されたわけです。鳩山内閣公認の「天下り」官僚OBが、日本郵政の社長と副社長2人に就任したことは、「天下り解禁」の公式表明みたいなものです。
民主党が選挙のときに唱えていた「脱官僚」や「天下り根絶」の公約は、どこへ行ってしまったのでしょうか?
質問主意書への回答を見やすいように一覧にしたのが次のリストです。
(株)東京金融取引所社長(東京金融先物取引所理事長、東京金融先物取引所社長)
農林漁業金融公庫副総裁
総裁名
任期
最終官職
備考
宮本保孝
S60.7.16~H3.8.31
大蔵省理財局長
安原正
H3.9.1~H6.6.8
環境事務次官
大蔵省出身
千野忠男
H6.6.8~H8.8.31
大蔵省財務官
藤原和人
H8.9.1~H12.5.15
国土事務次官
大蔵省出身
福田誠
H12.7.15~H14.6.11
大蔵省金融企画局長
尾原榮夫
H14.7.23~H17.8.28
国税庁長官
坂篤郎
H17.8.29~H17.11.13
内閣官房副長官補
大蔵省出身
浜中秀一郎
H17.12.26~H20.9.30
在ポルトガル大使
大蔵省出身
(財)簡易保険加入者協会理事長
理事長名
任期
最終官職
稲増久義
S58.9.10~H2.9.14
郵政省貯金局長
仲松次郎
H2.9.15~H6.9.14
郵政省大臣官房資材部長
松澤經人
H6.9.15~H14.1.31
郵政省大臣官房資材部長
足立盛二郎
H14.2.1~H16.6.16
郵政事業庁長官
高橋豊久
H16.6.17~H19.6.19
郵政省大臣官房首席監察官
池田仁
H19.7.1~H21.6.30
郵政省大臣官房首席監察官
二村英男
H21.7.1~現在
日本郵政公社監事
(社)日本損害保険協会副会長
副会長名
任期
最終官職
備考
石坂匡身
H16.7.15~H19.9.20
環境事務次官
大蔵省出身
福田進
H19.9.20~H20.9.24
国税庁長官
坂篤郎
H20.10.16~H21.10.28
内閣官房副長官補
牧野治郎
H21.11.6~現在
国税庁長官
(株)NTTドコモ副社長(NTT移動通信網(株)副社長)
副社長名
任期
最終官職
小野沢知之
H4.6~H10.6
郵政省放送行政局長
村瀬龍児
H10.6~H14.6
郵政省郵政大学校長
加藤豊太郎
H14.6~H16.6
郵政省郵務局長
足立盛二郎
H16.6~H19.6
郵政事業庁長官
松井浩
H20.6~現在
総務省総務審議官
社長(理事長)名
任期
最終官職
吉田太郎一
H1.4.25~H7.5.19
大蔵省財務官
吉本宏
H7.5.19~H12.5.16
大蔵省理財局長
齋藤次郎
H12.5.16~H21.10.27
大蔵事務次官
太田省三
H21.10.28~現在
大蔵省印刷局長


